未来観測
倒れた時に足を強く打ちつけたのだろうか
立ち上がろうとすると、足にズキズキと激痛が走った


「ごめん、えりちゃん。
俺前見てなくて…
立てる?
てか保健室行った方がいいよね、足擦りむいてるし」


そう言った男子生徒はあたしの腕を掴むと
その手を自分の方に回し
ゆっくりとあたしを起きあがらせてくれた

立ち上がろうとすると激痛が走った足は
その体勢をとることによって、かなり楽になる


「…ごめんね。
とりあえず保健室まで連れて行ってもらっていいかな」


「うん。
本当ごめん、えりちゃん」



“そんなに気にしないで。
でも、もう廊下は走っちゃダメだよ”

そんなことを彼に言おうと口を開いた瞬間
あたしの言葉に覆いかぶさるように、耳の中に聞きなれた低音が響いた





「…触るな」





…え?


あたしを支えてくれている生徒とあたしは
ポカンとしながら声のする方に振り向く




「それ以上触んな」






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