未来観測
顔が
耳が
ていうかもうあたしの全部が

一気に真っ赤になった


「な…」


言葉にならない言葉が
あたしの口の中で虚しく消化されていく


そんなあたしの様子に気付いてか
見て見ぬふりをしてか
それは分からないけれど。
下崎君がこちらに来て
あたしと赤谷君を交互に見た
まるで何もかも分かったような瞳をして。


「…先生怪我は?
大分血出ちゃってるから早目に保健室行った方がいいね」


「え?
あ…うん」


下崎君のその言葉を合図に、赤谷君はあたしを軽く抱え廊下を歩き進んでいく



保健室に着くまでの道のりの中。
あたしたちは一言も言葉をかわさなかった



何だか気まずくて。
あたしが発していい言葉は何もない気がしたから



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