未来観測

保健室に着くと同時に
あたしは待ってましたとばかりに口を開いた


「あの…
後は保健の先生に任せればいいから…。
二人は授業に戻って？」


その言葉に下崎君は赤谷君を横目で見て
あたしに対する返事を伺っている

すると赤谷君はそんなあたしを見てため息をつき
保健室のドアをガラッと開けた


「ちょっ…
赤谷君。」


そんなあたしの声を無視し
彼は保健室へと立ち入りこう言った


「今日保健の先生休み。
野球部の遠征の付き合いだってさ。」


「…え？」


「朝の朝礼で言われたじゃん。
だから今日はいつもより怪我には気をつけて下さいって。

きっと先生だけだよ、こんな日にわざわざ怪我する人」


そう言って笑った彼は
顔を真っ赤にしたあたしの手を引き
ぱっぱと怪我の手当てを始める



「いたいいたいいたい！」


「うるさいな～大人なんだから我慢してくださいよ」


そう笑いながらも優しくあたしの頭をなでる彼の姿に
キュンと胸が鳴った


もう。
やっぱりこれじゃぁどっちが大人か分かんない

そんなことを考えていると
横から遠慮がちな声が聞こえてきた



「あの～…」