未来観測
ガチャン。

保健室のドアが閉まると共に
あたしの鼓動は一気に速度を上げる


「あの…赤谷君。
ここは他の生徒も来そうだし…
もうこれ以上バレるわけにもいかないから、他の場所で…」


でも。
あたしはそれ以上言葉を続けることができなかった

だって
彼が突然あたしを力強く抱きしめたから。



「…せき…

…寛人?」


勇気を出して名前を呼んでみる


「…先生。
それ計算?」


「え?」


「このタイミングでその名前呼ぶってどうよ。
俺今めっちゃキュンときちゃったじゃん」


彼の口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったあたしは
思わず場の雰囲気とはかけ離れた笑い声を出してしまった

でも彼はそんなあたしの様子もお構いなしに
言葉を続ける




「先生…
会いたかった。
本当に本当に会いたかった」





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