EMERALD


鋭いのは、視線だけではなかった

その言葉もまた、人の内側を突き刺すように、鋭い


《レオナードのことは、今でも思っているの?》

《・・・・・・・・・・・・・・・》


その問いに、世羅は答える術を持たない

口にしてしまえば、無理矢理蓋をして押さえつけた【中身】が、溢れてしまう


《・・・まぁ、いいわ。聞かなくても、分かっていたことだから。私がここへ来た理由、想像できる?》


問われてばかりだ

けれど、その方が楽かもしれない

彼女は、レオナードのような柔らかな雰囲気も、エドのような貴族らしからぬ親しみやすさなど、微塵も感じさせてはくれない

そんな相手と会話など、拷問にも近い、耐え難い苦痛だ


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