《完》極上☆SWEETS!! 〜愛しのショコラ・プリンス〜
電話の向こうの声は、耳を
そばだてても全く聞こえない。


だから周りのあたし達には、
新条さんの声と表情だけが
頼りなんだけど……。

新条さんにも余裕がない
みたいで、ただ俯いて、
真剣な表情で向こうの話を
聞いてるだけ。


「はい……はい。
そうですか――」


なんか、やたら話が長くて、
相槌ばっかが続いてる。


……一体どーだったのよ!?


業を煮やして誰かが叫ぶん
じゃないかって思った時――。


「え――――!」


新条さんの表情が、変わった。


目を真ん丸に見開いて、
驚きで呆然としてる――
そんな感じ。


その顔つきのまま、新条
さんはもう何度か、電話の
相手に相槌を打って。


「――わかりました。
はい、失礼します」


最後にそう言うと……
静かに、受話器を置く。


カチャッていう硬質な
音が、小さく聞こえて。


その後は――誰も、何も
言わない。

……ううん、言えなかった。


ここまできたら、
『どうだったんですか?』
なんて、言う気にもなれない。
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