君が嫌いな君が好き
「…ごめんな」
悠斗は眉を八の字にし、捺の腰に手を回し抱きしめた。
そして、口元を捺の耳元へと近づけた。
「捺が可愛過ぎて、いぢわるしたくなった」
『…ん……///』
捺は、擽ったいような感覚に身を捻る。
そして、悠斗の温もりに段々と眠くなってきた。
「寝とけ、捺」
『…』
悠斗がそう言った時には、既に捺は寝ていた。
悠斗は、捺をベッドに寝かした。
そして、立ち上がろうとしたとき
クイっ…
「捺、?」
捺が悠斗の服の袖を引っ張った。
起きているのか、と顔を覗くが捺は眠っていた。
『ゆ、…と………………
行かないで…』
【行かないで】
消え入りそうな声で、確に捺はそう言った。
閉じられた瞼の奥から溢れ落ちた捺の涙を、指で掬い悠斗は床に座り捺の頬にキスを落とした。
「俺は捺とずっと一緒にいるよ」
悠斗もベットの横側に体を預け、ゆっくりと目を閉じた。
(捺は誰にも渡さない)