君が嫌いな君が好き
―悠斗side―
「ん……………」
俺は、いつの間にか寝てた。
あー…そう言えば俺、捺と寝てたんだっけ。
「ふぁ…」
いつの間にか捺から離された袖を確認して、俺は伸びをしながら欠伸をした。
「今何時だよ…」
目を擦って、捺の部屋にある林檎型の時計を見る。
「もう昼か」
12:38。
寝てたから、あんま腹は減ってない。
「……」
すやすやと眠る捺を、俺はじっと見つめた。
すると、捺の目がゆっくりと開いた。
『ん、……………』
「あ、なっちゃん、起きた」
『…』
「なっちゃんの寝顔可愛いくて、お兄ちゃんもう…メロメロvV」
いつものように、ニッコリ笑う俺。
そんな俺に、捺はグーパンチを頬にしてきた。
「グハ!」
『地獄に落ちろ』
「反抗期ぃぃい!!」
『兄離れの時期』
「そんなの認めない!」
俺は、殴られた頬を擦りながら捺を見上げる。
捺がベットに座ってて、俺は床に座ってるから、俺は必然的に捺を見上げる事になる。
そんな俺を見て捺は、ふぅ…と溜め息をついた。
溜め息をついた捺の顔が、どこか微笑んでいるように俺は見たえた。
―悠斗side end―
(俺が見たい捺の顔は、そういう顔だよ)