君が嫌いな君が好き
バッチィイン!!
皮肉な程乾いたその音は、私の部屋に響きわたった。
叔父に頭を叩かれ私の頭の中は、ぐわんぐわんと揺れる。
『――――――――』
「ガキが。ざまぁねーな」
私は、もう意識を保てないほど熱に蝕まれていた。
「クソガキが、生意気言いやがって」
叔父が私の髪の毛を掴み、私の顔を持ち上げ、そう言ったときだった。
ドタドタドタドタドタ!!!
「ッ捺っ!」
焦りに焦った、というかのような足音の後に、開かれたままの部屋のドアから誰かが飛込んできた。
『ゆ、…と…?』
目の前が霞んで、悠斗なのかよくわからない。
「捺っ!!!」
……あぁ、この声。
『ゆ、…と、だ…』
悠斗の声だ…。
「チッ……」
叔父は、気分を害したのか舌打ちをした。
「お前―――!!!」
悠斗の怒り狂う声に、私は消え行く意識の中で話しかけた。
『ゆ、と、………け、……か、………や………よ…』
―捺side end―
(悠斗、喧嘩は嫌だよ)