君が嫌いな君が好き















―悠斗side―










買い物に出て1時間程がたつ。




とりあえず、捺のためにスポーツドリンクやのど飴を最初にカゴに入れる。

それから飯の材料……とにかくいろんなものを買った。








「捺、ちゃんと寝てんのかな…?」








捺、熱上がってねえかな?
捺、いっぱい汗かいてんだろうな。

早く帰って捺の様子を見ないと。










ガチャ











捺の事を考えていると、いつの間にか家までついていた。










バッチィーン!











「?!」








家につくとどこかから聞き慣れた人を叩く音が聞こえた。









「ま、さか…?!」








叔父の靴が玄関にある。
捺が…叔父に何かされてるのかもしれないっ!










ドタドタドタドタッ!!









俺は慌てて捺の部屋に向かった。








「捺っ!!!」








目に映るのは、叔父に髪の毛を掴まれて涙目の捺。








『ゆ、…と、だ…』








風邪のせいか、掠れている捺の声。
その声が酷くか弱く聞こえた。








「チッ……」








叔父は俺を見て舌打ちをして、捺を掴んでいた手を乱暴に離した。








「お前―――!!!」








虚ろな捺の瞳から流れる綺麗な涙を見て、俺の中の何かがキレた。








『ゆ、と、………け、……か、………や………よ…』















―悠斗side end―




















(喧嘩は嫌?…俺は捺の泣き顔が嫌なんだよ)








< 25 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop