君が嫌いな君が好き
『…』
家につき捺の部屋に入った悠斗は、自分の背中で寝息を立てている捺をベッドにおろした。
『…ん』
「あっ…起こした?」
『…起こされた』
「ごっめーん!
こんなお兄ちゃんを許して☆」
『ウザイから出てって』
「ガーン!(゜口゜川)プルプル」
『顔文字使うな』
「あは(ハァト)」
先程よりマシになったのか、捺はいつも通りに悠斗のハートを言葉のハンマーで殴る。
「素直ななっちゃんはどこへ?!」
『なんのこと』
「覚えてないパターンっスかぁあ!」
先程…傷つかないで、と言った捺だったが頭の隅々を調べても思い出すことはなかった。
「ショック…
ぐすん」
『あー、もうッ!
寝るから出てって』
「あv
お兄ちゃんが、添い寝…」
『無理』
「一言で終わらせないで!!」
捺はベッドに寝転がり、布団を被った。
「なっちゃんのケチんぼ」
『…』
「ごめんなさい、お兄ちゃんが悪かったから無視しないでお願いします」
『…ふん』
「!(許してもらえたぁあ!…多分)」
そして、悠斗は夕飯を作ろうと立ち上がった。
「なっちゃんなっちゃん♪
今日の夕飯は、あったかいうどんだよ(ハァト)」
『ハート飛ばすな』
「はいはいv」
そう言うと、悠斗は部屋を後にした。
『……悠斗に…いっぱい迷惑かけてる…』
沢山迷惑をかけた。
捺はそう思いながらため息をついた。
『なんで…あれくらいで風邪引くの……私の馬鹿ッ…』
小さな声で、捺は自分に悪態を吐いた。
(こんな弱い自分なんか大嫌い)