ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「苺先輩、元気出せって〜」

笑いながら、冗談っぽく翔くんは言うけれど、声は震えてて…それを聞いたら、苦しくなった。

「うー…っく…え…っ」
「もー、苺先輩…」
「っ…だって…」

だって、あたし翔くんを傷つけた。
なのに、笑ってくれるから…。

「お互い、がんばろう?」
「…え?」
「苺先輩…好きな奴、居るよね?」
「…」

あたしは否定も肯定も出来ない。

「俺は…やっぱり苺先輩が好きだから…いや、もっと好きになったから想い続けるよ。苺先輩は?」

あたしは…あたしも…

「想い続ける…」

この気持ち、簡単に捨てられないことを、知ってしまったから。

「じゃあ、がんばろうっ!」

ガッツポーズをする翔くん。

「うん…ははっ」

何だかおかしくなって、あたしは笑った。
翔くんがあたしを応援するのは、変なんだもん。

でも、嬉しかった。

「ありがとう…」

心からそう思った。

すると、翔くんは立ち上がる。

「苺先輩っ、帰るよ!」
「えっ?」
「家まで送るからっ!」

手が差し延べられる。

「う、うんっ」

手を借りて、あたしは立った。

暗さでよく分からなかったけど、翔くんは赤くなっているような気がした。
どうしたんだろう?

ヒュー……バンッ!!

「「!?」」

突然の大きな音に、あたしと翔くんは驚いた。

ぱっと明るくなって、空には大きな花が咲く。

「わぁー…」

あたしは感動の声を漏らす。

1年前と空は変わらない。
だけど、あたしの気持ちは変わったよ。

想い続けることは辛いけど、忘れることも辛い。
どっちも辛いのなら、あたしは想い続けたい。

初めて知ったこの感情、大切にしたい…。

あたしはすぐに泣いちゃう弱虫だけど、強くなれてる気がする。

現実には、もう言うことはないだろう言葉を、あたしは夜空の花に託した…。

好きです…。



今日は…とても暑い夏の夜。
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