ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

ヒュー…バンッ!!

花火が空に打ち上がる。

「わぁー…綺麗!裕ちゃん見てっ!すごく綺麗!」

麗奈は俺の手を握る。
花火に照らされる、麗奈の表情は笑顔で…何て綺麗な横顔なんだろう。

麗奈は美人で、スタイルも良くて、頭も良くて、性格も悪くない、
何でも出来る女の子。

だけど、本当は寂しがりやで、誰かが側にいないとダメな女の子。

だから、俺がずっと側に居るって誓った。
麗奈のサンタにでも、恋人にでも、何にでもなるつもりで誓った。

でも、津田に恋をして、その“誓い”が“戒め”となる。

“約束”を守りたくないと思ってしまった、戒めと−…。

「麗奈…」
「うん?」

花火を見ていた麗奈が、こっちに振り向く。

「俺は…麗奈の側にいるから。ずっと側にいるから」

あの時の言葉を、もう一度言わせて。

もう一度、“約束”するために。
“誓う”ために。

「え…裕ちゃん?」

麗奈は一瞬、戸惑った表情を見せた。
唐突な俺の言葉に、びっくりしたのだろう。

だけど、

「ありがとう」

少し照れ笑いして、そう返事した。


これでいい。

これでもう後戻り出来ないから。

誓ったから。

麗奈のずっと側にいる…。

麗奈が必要とする限り、ずっと−…。


ごめん…。

花火が舞う空、
自分の気持ちに謝った…。
< 140 / 494 >

この作品をシェア

pagetop