ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
ヒュー…バンッ!!
花火が空に打ち上がる。
「わぁー…綺麗!裕ちゃん見てっ!すごく綺麗!」
麗奈は俺の手を握る。
花火に照らされる、麗奈の表情は笑顔で…何て綺麗な横顔なんだろう。
麗奈は美人で、スタイルも良くて、頭も良くて、性格も悪くない、
何でも出来る女の子。
だけど、本当は寂しがりやで、誰かが側にいないとダメな女の子。
だから、俺がずっと側に居るって誓った。
麗奈のサンタにでも、恋人にでも、何にでもなるつもりで誓った。
でも、津田に恋をして、その“誓い”が“戒め”となる。
“約束”を守りたくないと思ってしまった、戒めと−…。
「麗奈…」
「うん?」
花火を見ていた麗奈が、こっちに振り向く。
「俺は…麗奈の側にいるから。ずっと側にいるから」
あの時の言葉を、もう一度言わせて。
もう一度、“約束”するために。
“誓う”ために。
「え…裕ちゃん?」
麗奈は一瞬、戸惑った表情を見せた。
唐突な俺の言葉に、びっくりしたのだろう。
だけど、
「ありがとう」
少し照れ笑いして、そう返事した。
これでいい。
これでもう後戻り出来ないから。
誓ったから。
麗奈のずっと側にいる…。
麗奈が必要とする限り、ずっと−…。
ごめん…。
花火が舞う空、
自分の気持ちに謝った…。