ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「何で?」
冷たく言う。
「西藤先輩、他の女子と苺先輩とじゃ接し方違うから…」
「津田は友達だから」
間違ってはいない…。
「それだけですか?」
真剣な眼差しで、こっちを見る。
尋問されているような…そんな感覚に捕われる。
「あぁ」
「それで…いいんですか?」
「…どういう事だよ」
「西藤先輩が苺先輩のこと、友達ってだけって言うんなら…俺、苺先輩彼女にしますけど」
……。
「まだ付き合ってなかったんだ?」
俺はわざと意地悪を言った。
悔しくて…強がって。
「これから付き合いますよ」
意外にも冷静に彼はそう言った。
「あっそ、お幸せに」
自分が言ってることは、最悪だと思う。
だけど、どうしようもなくて。
俺は玄関を開けて家の中へ入ろうとする。
「俺はっ!苺先輩のこと、好きですからっ!!」
「…」
パタン
玄関の扉を閉めた。
自分はつくづく馬鹿だと思う。
津田を“友達”だと言っておきながら、津田があいつと付き合ってないって知って、喜んでいる。
なのに、気持ちとは真逆な事を言う。
子供みたいに意地悪を言って…
欲しい物を、欲しいと言えない子供。
だけど、それでよかったのかもしれない。
麗奈の側にずっと居ると、誓ったのだから…。
津田の側には居れないのだから…。
「はぁ…」
ため息をつく。
自分の態度も改めなくては…。
今のところ、麗奈は分かってないみたいだけど、このままじゃ気付かれるのも時間の問題…。
「どう接すればいいんだよ…」
いつも以上に暑い夜…。
それはきっと、熱帯夜のせいだけじゃなかった。