ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「何?やっぱり話してくれないの?」
「うん…」
あたしと由紀ちゃんは、廊下に移動して話し出す。
「わたしが何でか聞いてこようか?」
「ううん…聞くんなら自分で聞く。でも、聞かなくていいの」
「何で?」
「嫌われたなら、これ以上嫌われたくないもん…」
自然と涙が、浮かび上がる。
「苺…」
「ごめんねっ、大丈夫、大丈夫!」
自分にも言い聞かせて、涙を我慢する。
「あ、由紀ちゃん、何か用事があったんじゃないの?」
あたしは話題を逸らした。じゃないと、きっと泣いてしまうから。
「特に用事ってわけじゃないんだけど…修学旅行の班、決まったのかなぁって」
「まだ決まってないよ」
「そっかぁ…」
「どうしたの?」
「ううんっ!何でもないっ!」
由紀ちゃんは心なしか、焦っているように見えた。
「文化祭もあるし、大変だねー」
と、由紀ちゃん。
そういえば、文化祭もあるんだった…。
部活をしていないあたしは、また楽なのだろうけど。
「じゃあ、教室戻るねっ!」
「うん」
手を振って、あたしも教室へ戻る。
西藤くんを見るけど、目が合う事はなくて…。
去年の文化祭は、ケガをしたあたしを助けてくれた。
今、またケガをしたら…
助けてくれる?
無理かな…。
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴る。
あたしは自分の席に戻った。