ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


翔くんと帰るのも、人の目が少し痛い。
なんだかんだ言って翔くんも、かっこいいから…。
それでも、何も嫌みを言われないのは、やっぱり“お似合い”に見えるからかな…。

付き合ってるって噂もある。
始めは否定していたのだけど、否定するのも面倒に感じて、今は何も言わない。

翔くんも黙って笑うだけみたい。

あたしにとって翔くんは、やっぱり落ち着く存在で、大切な“友達”。

それから同じ気持ちを抱える“仲間”。

翔くんの治らないタメ語。
今でも気持ちの向かう先が、あたしっていうのが複雑だけど…。


「あ、苺先輩?」
「うん?」
「うちの学校ってミスコンあるんだよね…?」

そういえば、そんなものあったなぁ…。

「うん…あったよ?」
「今年、先輩応募しようよ!」

翔くんは、にこにこ笑顔。

今年…応募…しよう?

「やっやだやだっ!絶対やだっ!」

そんなの、出来るはずがない!

「何でー?」
「だって恥ずかしいじゃんっ、しかも出る人とか、あの藤堂先輩だよっ!?」

藤堂先輩の隣に、あたしが立ったら…まさに月とスッポン!

「俺は苺先輩のが、かわいいと思うけど♪」

やっぱり翔くんはにこにこ。
だけど、

「絶対に嫌だからねっ!!」

あたしはいつもより強く言った。

のに−…。
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