ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「…え?」

してない…?

「ミスコンだよ?ミスコン…」

あたしは一歩、歩み寄る。

「うん。何もしてないよ?そりゃ苺先輩出たらいいと思ったけど、嫌って言ってたし…」

翔くんは、嘘をつくような人じゃない。だから本当に違うのだろう。

「じゃあ一体誰が…」
「何?苺先輩出んの?」
「出ないっ!」

出るつもりなんてない。
でも、本当に誰が…?

他に心当たりなんて、ない。

「あ、苺先輩、今日先に帰ってて。遅くなりそうだから」
「え?あっ、うん」

返事をして、翔くんと別れた。

今日は一人か…寂しいな。
そんなことを思いながら教室に戻り、カバンを持って階段を降りる…

と、うちのクラスの下駄箱の前に、人が立っていて、

思わず足を止めてしまった。

さらさらと、ストレートの長い髪の揺れる…すらっとした、綺麗なシルエット…。
ミスコン…彼女が出るなら、どんな女の子も負けてしまうだろう。

藤堂先輩−…。

あたしはゆっくりと歩き出して、藤堂先輩に近付いた。

「こ…んにちは」

あたしから挨拶すると、

「苺ちゃん、こんにちは」

藤堂先輩は、ため息が出そうになるくらいの、綺麗な微笑みを浮かべた。

「…西藤くんですか?」
「今日は裕ちゃんじゃなくて…苺ちゃん」
「えっ、あたしですか?」
「うん」
「何でしょう…?」

何かしてしまっただろうか?と、咄嗟に考える。

「生徒会の人来なかった?」
「来ましたけど…」

まさか…って思った。

まさか…

「びっくりしたでしょ?苺ちゃんを応募したの、あたしなの」

「え…?」

あたしはびっくりして固まる。
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