ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

なんで…

「どうして…ですか?」
「あたしは今年、受験もあるから出ないって言ったら、誰か紹介して欲しいって言われちゃって…」
「それで、あたしを…?」
「うん。勝手にごめんね?」

本当に勝手だ…。
だけど、藤堂先輩に文句なんて言えない。

「いえ…」

あたしは笑顔をつくる。

「でも、何であたしなんですか…あたし全然かわいくもないし…チビなのに」

藤堂先輩は、ずっと笑顔。

「苺ちゃんはかわいいよ。背は関係ないと思うし…ちっさいのもかわいいと思うよ?」

ちっさいのもかわいい…。
何だか、藤堂先輩に言われるのは嫌だ。
パーフェクトな藤堂先輩に言われるのは…同情に思えてしまって。

「やっぱり嫌かな…?」
「ごめんなさい…。そういうの苦手だし、お断りさせていただこうかなって…」

あたしの性格じゃ…あたしの容姿じゃ…無理。
あたしは俯いた。

「…嫌なことを、無理にやる事ないよ。ごめんね?ありがとう」

穏やかな藤堂先輩の声、笑顔は変わらない。
あたしと違って、大人だと思う…。

「引き止めちゃってごめんね?生徒会の方には、あたしが言っておくから」
「すみません…」

何だか罪悪感を感じる。

「いいのいいの。じゃあ、またね♪」
「さようならっ」

藤堂先輩は、最後まで笑顔だった。

藤堂先輩には憧れる。
綺麗だし、性格もいいし、勉強だって出来るって聞いた。

普通だったら…先輩に憧れるだけだったら、話せるだけで嬉しかったと思う。
でも、あたしは普通じゃない。

藤堂先輩の彼氏…西藤くんに、本気で恋してしまっているから…。

藤堂先輩になりたい。

だけど、なれない。

あたしは津田 苺。
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