ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


「裕ちゃん、待たせちゃってごめんっ…」

駆け寄って来るのは麗奈。

「テニス部の方は大丈夫か?」
「うん。あたし達は引退してるし、顔出すくらいでいいの」
「じゃあ…行こうか」

今日は文化祭。
麗奈にとっては、これが最後の文化祭となる。

「今年はゆっくり見れるから、嬉しいなぁ♪毎年、忙しかったから」
「今年はミスコン出ねぇの?」

麗奈と言ったら、それだ。
2連覇してるし。

「今年はもうパスしちゃった!でね…」
「うん」

「苺ちゃんにフラれちゃった」

「えっ!?あっ!」

思わず手に持ってたジュースを、落としかける。

「もぉ、裕ちゃん何やってんの?」

麗奈は笑う。

本当何してるんだろう。
ただ、麗奈の口から出た、津田の名前に動揺した。

「フラれたって?」

冷静を装って聞く。

「あのね、ミスコンに出てもらおうと思ったんだけど、ダメだったの」
「へ…ぇ…」

そりゃあ津田は、ミスコンに出るようなキャラじゃないし、無理だろう。

「でも、何で津田?」
「それはやっぱり、かわいいからでしょー?」

俺は何となく笑った。

麗奈と付き合っているから、「かわいい」って言うのも変だし、
「麗奈の方がかわいい」って言うのも、気が引ける。

「あ…」

ふっと、麗奈の顔から笑顔が消えた。

一点を見つめる麗奈。
その視線を追うと…

「麗奈、裕也っ!」

久しぶりに見る、明人さんの姿。
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