ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

修学旅行。

♪苺side♪


ピピピピピ…

早朝の静かな部屋に、体温計の音が鳴り響く。

えーっと…

あたしは体温計を、口から出して確認する。

【37、9】

「………」

ガチャ

お母さんが部屋のドアを開けた。

「苺、熱どう?」
「なっないよっ!下がった!下がった!」
「…見せなさい」

お母さんは、あたしから体温計を奪う。

「あっ!」
「苺…下がってないじゃない」
「ごめんなさい…」
「やっぱり休んだら?」

お母さんの手が、あたしのおでこに触れる。

水仕事をしていたのか、冷たくて気持ちいい…。

「やだっ、行くっ!」
「でもお母さん、苺が心配よ…」
「大丈夫だよ、熱あるだけだし…薬飲めば…ね?」

休むなんて絶対嫌。

「そう?じゃあ、辛くなったら先生に絶対言うって、約束して」

もう高校2年生になるのに、未だにお母さんは子供扱いする。
一人娘だから、しょうがないかなって思うけど…。

「うん」

あたしはお母さんと約束した。

今日は休むわけには、行かないんだ。

だって今日は2年生最大のイベント“修学旅行”。

「じゃあ、学校まで連れてってあげるから支度なさい」
「はーい」

お母さんは、あたしの部屋から出て行った。

あたしもベッドから起き上がって、いつものように服を着替え始めた。
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