ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「あの……。やっぱり何でもない」
“いつから付き合ってたの?”
その言葉を、あたしは飲み込んだ。
それくらいは、由紀ちゃんの口から聞きたい…。
「じゃあ、俺戻るね?」
「あ、うん」
川原くんは用件を済ませると、早々に自分の席へと戻って行った。
まさか、由紀ちゃんと川原くんが、付き合っていたなんて…。
本当は素直に喜んであげたいけど、そうもいかない。
だって、聞いてないよ…。
あたしは、何でも由紀ちゃんに話してきた。
由紀ちゃんも、何でも話してくれるって思ってた。
だけど、違ってたんだね。
由紀ちゃんは、1番伝えてほしいことを言ってはくれなかった。
考えると、涙が出てきた。
「ふぁぁぁ…あれ?苺ちん?」
いきなりメグちゃんが、目を覚ます。
慌てて目をこすったけど、もう遅かった。
「泣くほど飛行機怖いのぉ?」
「違うよっ」
「もぉ、無理しなくていいからぁ〜かわい〜っ♪」
あたしの頭は、メグちゃんに撫でられる。
メグちゃんは、一回思い込んだらその通りだと思ってしまうから、否定しても無駄だ。
飛行機が怖くて、泣いていることにしよう。
その方が気分が楽だから…。
少しメグちゃんの思い込みに、感謝した。