ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
コンコン
遠くで音がした。
全て消えて、視界が真っ暗になる…。
「………」
見えたのは天井。
そっか…あたし熱出て、寝てたんだ…。
ようやく自分が、夢を見ていたことに気付いた。
「…い……ぐ……」
「だ…ぶ……て…」
話し声が聞こえる。
誰かいるのかな…。
めいいっぱいの力を入れて、体を起こした。
まだ少し、頭がくらくらする…。
でも、それよりも、
ドキン…ドキン…
胸がドキドキして苦しい。
あんな夢を見たからだろうか。
手を自分の唇に当てる。
まだ、少し余韻が残ってる…。
夢…だよね?
…でも、夢に感触なんて…。
ふと、不安になる。
だって、はっきりと思い出せるから。
温かさも…感触も。
「苺?」
「あっ、え…」
ひょこりと顔を見せたのは、由紀ちゃん。
さっきの話し声は、由紀ちゃんだったことに気付く。でも、部屋に入って来たのは、由紀ちゃんひとり。
「ごめんね、起こしちゃった?大丈夫?」
「うん…」
由紀ちゃんの顔を見て、頭に浮かぶのは…川原くんとのこと。
「これね、先生が持って行ってって…おかゆ。ホテルの人が、用意してくれたみたい」
「ありがとう…」
「…」
由紀ちゃんは、お盆に乗っけたおかゆを机に置いて、あたしのベッドに腰かけた。