ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「苺…アイツとの事、聞いたんだって?」
「…」
「黙っててごめん」
「…どうして言ってくれなかったの?親友なのに…」
あたしが、泣きそうな声を絞り出すと、
「ごめんね」
由紀ちゃんは俯いて、もう一度謝った。
「ごめんじゃわかんないよ…どうして?」
シーツをぎゅっと、力を入れて掴む。
「苺…怒んないでね」
由紀ちゃんが静かに話す。
「苺が…苺が上手くいってないのに…苦しい思いしてるのに……わたしだけこんな…言えなくて」
由紀ちゃんの声が震えて…
…泣いてる?
いつも強気な由紀ちゃんが…。
怒るなって言ったけど…
「怒るよ」
「…ごめん」
「今度あたしに遠慮したら、怒るから」
「苺…」
「おめでとう。良かったね、由紀ちゃん」
やっと、あたしは由紀ちゃんに笑えた。
心の底から良かったね…と思う。
由紀ちゃんだから。
大切な友達だから−…。
「苺ぉ…大好き!」
ぎゅうって由紀ちゃんは、あたしに抱き着いた。
「川原くんよりも?」
「もちっ!苺が1番っ!」
「ありがとう♪」
由紀ちゃんの言葉は、決して冗談じゃないだろう。
だって、よく考えてみれば、由紀ちゃんは今まで、あたしを優先しててくれたんだから…。
クラブがない時は、必ず一緒に登下校してくれてたし、明日の自由行動だって、あたしと行動してくれる予定だった。
ずっと、あたしのことを、1番に考えてくれてたんだよね…。
「ありがとう…」