ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「え…?」

藤堂先輩が…邪魔者…?
邪魔者なのは、あたしのはず…。

次の瞬間、藤堂先輩は信じられない言葉を、口にした。

「裕ちゃんが好きなのは…苺ちゃんだよ」

「−……」

言葉が出ない。
藤堂先輩は、ココアをぼーっと見つめながら、続ける。

「昨日ね、あたし裕ちゃんに言われたの…他に好きな人が居るって。今朝、苺ちゃんと話してる裕ちゃんを見て、気付いちゃった。ううん…本当はきっと、ずっと前から気付いてた」

両想いかもと喜んでいたくせに、藤堂先輩の言葉が、信じられない…。

「ごめんね…邪魔して…」

藤堂先輩が“邪魔”なのだろうか…。
もし、あたしと西藤くんが出会わなかったら、二人は上手くいってたんじゃ…?

「邪魔な人なんて…いませんよ」
ココアを持つ手に、力が入る。

そう、邪魔な人なんていない。
少し見方を変えたら、誰だって邪魔になるんだから…。

「苺ちゃん…ありがとう」

気持ちが込み上げて来て、涙を浮かべるあたしに、藤堂先輩は慰めるように笑った。

あたしはまだまだ子供で…
藤堂先輩は大人…。

たった1歳しか変わらないのに、この差は何だろう。

あたしは涙を抑えようと、ココアを飲んだ。

「苺ちゃんが、本当の気持ち言ってくれたから、あたしも本当のこと言うね?」
「本当の…?」
「うん…。あたしの好きな人は、裕ちゃんじゃないの」
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