ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
藤堂先輩の好きな人は、西藤くんじゃない…?
あたしはとてもびっくりした。
だって、藤堂先輩は西藤くんのことが好きだと思ってた。だから、付き合ってるんだと…。
「じゃあ、どうして…」
あたしの口から自然に、言葉が出た。
「その好きな人とね…あたしは絶対に結ばれることはないんだ。それを裕ちゃんは知ってて…側に居てくれたの」
「……」
「あたしが裕ちゃんの優しさを利用した、って言った方がいいかな」
藤堂先輩は苦笑したけど、気持ちわかる気がした。
あたしだって、何度も「翔くんと付き合ったら…」って、思ったことがあったから。
「裕ちゃんも本当にバカだよ。子供の頃の…約束…守っちゃって」
藤堂先輩の声が震えて、大きな瞳には涙が浮かんでた。
あたしはこの時、分かってしまったんだ。
他に好きな人がいるって言ったけど、藤堂先輩は西藤くんのことも−…。
「苺ちゃん…ごめんなさい。もう少しだけ、裕ちゃんの側に居させて…?」
藤堂先輩は、とても綺麗で…優しくて、
万が一西藤くんが、今あたしのことを好きだとしても、すぐに藤堂先輩に、気持ち奪われちゃうかもしれない。
西藤くんと藤堂先輩の間には、あたしには分からない、強い繋がりがあって…。
焦る気持ち…ある。
だけど…
「はい」
あたしは笑った。
今1番辛いのは…泣きたいのは…藤堂先輩だから。
そして、藤堂先輩は一つのことを教えてくれた。それを聞いたら…
「側に居てください」
そうとしか、言えなかったんだ−…。