ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


俺は通学路の途中で、麗奈を待っていた。

辺りはもう暗くて、夜風はかなり冷たい。
手なんか冷え切っていた。
だから、何度も何度も帰ろうと思ったけど、気になってしょうがなかった。

麗奈は津田に、何の話があるというのだろう…。

いや、だいたい予想はつく。

俺の好きな人が、津田だということ…麗奈は絶対に、気付いているから。

津田…泣いてなきゃいいけど。

「…裕ちゃん?」

暗闇から声がして、声の方を向くと、そこには麗奈が立っていた。

「何してるの?」
「麗奈を待ってた」
「そう」

麗奈と並んで歩く。

「遅かったな…」
「まぁね」
「…」

麗奈の機嫌は、明らかに悪い。
最も、昨日の今日で良いわけないけど…。

「苺ちゃんが心配で待ってたの?」
「…」

麗奈の声は、昨日とは違って静かだ。

「苺ちゃんが好きなんでしょ?だから、どんな話したか気になって、待ってたんでしょ?」

やっぱりバレてる…何もかも…。
嘘はつけない。

「あぁ…」

麗奈は何も言わず、歩いた。

俺も何も言わず、歩いた。


すぐ家に着くはずの距離が、今日はすごく長く感じた。
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