ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
家庭科室に入ると、廊下とは一変して、温かい空気。
どうやら席は自由みたいで、あたしとメグちゃんは、並んで座った。
ほんわか甘い匂いがするのは、4時限目にどこかのクラスが、調理実習でもしたのかな?
「苺ちん、雪すごいよぉ♪」
言われて窓の外を見ると、大きな雪の粒が止むことなく降って、空気中を白く染めていた。
「積もるかな?」
「これは積もるでしょお♪」
なんだか嬉しそうに言う、メグちゃん。
「帰り…こけそう」
「えっ!?苺ちんウケるぅ♪」
ウケるかな…?なんて、頭の中で考えた。
「あ〜♪ホワイトクリスマスに、なればいいねぇ♪」
ホワイトクリスマス…。
今までそんなこと、気にしたことがない。
でも、今年は雪が降ればいいな…って思った。
窓から降る雪を見ていたら、何となく“幸せ”を、感じることが出来そうで…。
たとえ好きな人が、他の人と過ごすとしても…静かに“幸せ”を、願える気がして…。
授業が始まると、眠くなってしまった。
お昼だし…部屋は暖かいし…メグちゃんなんか、堂々と寝てるし…。
あたしは、ほんの少し夢を見た。
部屋が甘い香りだったからかな?
とても甘い甘い夢−…。
そしてあたし達はクリスマスを迎える。
決して忘れることの、出来ない日を。