ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
俺と、母さんと父さん。そして、麗奈の4人で食事。
それは、まるで子供の頃に戻ったみたいだった。
昔…麗奈の両親が、離婚する前くらい。麗奈は毎日のように、俺の家で食事してて、
でも、おじさんが再婚してからは、ぱったりと来なくなったんだよな…。
今思えば、あの時から少しずつ、変わっていたのかもしれない…。
「裕ちゃん、口にクリームついてるよ?」
麗奈がそっと、俺の口元に指を伸ばした。
「裕也と麗奈ちゃんは、本当に姉弟みたいね」
「…」
母さんが言った言葉に、一瞬麗奈は固まる。
だけど、すぐに笑顔で頷いた。
母さんも父さんも、付き合っていることを知らない。
はたから見たら恋人でも、近くの人から見たら家族…なんだ。
「じゃあ、そろそろ失礼しますね」
食事を終えて、後片付けを手伝い終えるなり、麗奈は言った。
「もう帰っちゃうの?」
「はい、ありがとうございました」
「受験生だもの…大変よね」
「あっ、いえっ」
麗奈が焦った声を出す。
「あたし…合格してるんです」
「えっ、知らなかった!おめでとう!どこの大学?」
一瞬、麗奈は俺の顔を見た。そして、
「…K大学です」
「はっ!?」
声を出したのは、俺だった。
なぜなら、麗奈が口にした大学は、全国レベルで有名で…って、そんなことに驚いたんじゃない。
それは、県外の…遠い大学だったから−…。