ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「麗奈、どういうことだよ?」
俺は、帰ろうとしていた麗奈を引き止めて、自分の部屋に入れた。
「お兄ちゃんと、同じこと言うんだね?」
麗奈はいつものように、ベッドに腰掛けて笑う。
「なんで…そんな遠くの…」
「寂しい?」
「…」
正直、わからない。
ずっと麗奈が近くに居るのが、当たり前だった。
今、居なくなることを聞いても、実感が沸かない…。
「裕ちゃん、言ったじゃない?お母さんと住んだら…って」
「それで…?」
確かにK大なら、麗奈のお母さんが住んでいる地域。
「本当はね、ずっと考えてたんだ…お母さんと暮らすこと。お父さんには、今のお母さんがいるけど、お母さんは一人ぼっちだから…」
「…」
「いい大学受かったし!この動機なら、お母さんも文句言わないでしょ?」
麗奈は笑う。
「言うの、遅くなってごめんね…。最後の時間は、裕ちゃんと一緒に居たかったの」
「…」
俺は目をそらす。
「もう…いいから。“約束”は今日で終わり」
「え…」
思いがけない発言に、視線を麗奈に戻す。
「もう、“彼氏”も“サンタさん”も、必要ないよ」