ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「裕ちゃんと苺ちゃん、すっごくお似合いだと思う」
微笑む麗奈の顔は、とても穏やか。
「早く行ってあげて。苺ちゃんに、1番のプレゼントあげて?“サンタさん”」
「麗奈…ありがとう」
“ごめん”じゃなくて、“ありがとう”を選んだ。
麗奈には、幸せになってほしいから…。
机の上から、携帯を取る。
その時、一つの物が目に入った。
それは、麗奈にあげる予定だった物。
「麗奈」
「うん?」
「これ」
小さな紙袋を、麗奈に差し出す。
「もう、必要ないみたいだけど」
「え…?ありがとう…」
麗奈は、少し驚いた表情を浮かべながら、そっと受け取った。
俺はそのまま部屋を出ようとする…けど、「裕ちゃん」と、静かに呼ばれて、振り返る。
「苺ちゃんに、ごめんって謝っといて」
俺は黙って頷いた。
そして…
「麗奈…もう一人、気持ち伝えなきゃいけない人居るんじゃないか?」
それだけ言って、部屋を出た。
これが、最後に俺が麗奈のために、出来ること。
津田のこと…嘘をつかれていても、麗奈を怨む気持ちなんか、湧かなかった。
お姉さんみたいな“れなちゃん”
大好きな“れなちゃん”
麗奈は今でも、大切な存在だから…。
ずっと…ずっと…。
家を出て、雪が降っていることに、始めて気付いた。
道は、白く染まり始めている。
走りながら携帯を開く。
津田に今すぐ、伝えたくて−…。