ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


12月24日、クリスマスイヴ。

「おいしいっ♪」

あたしは笑顔で、ケーキを食べていた。もちろん、イチゴのショートケーキ。
うちは誕生日でも、クリスマスでも、お母さんお手製の、イチゴのショートケーキ。

あたしはこれが大好きで…
食べてると笑顔になる。

「お母さん、もっと食べたいなぁ♪」
「何言ってんの」

お母さんは笑う。

でも、本当にもっと食べてたい。

だって、あの人のことを考えると…悲しくなるから。

考えないようにしてるのに、考えちゃうんだ。

今は藤堂先輩と一緒かなぁ…なんて、自分が決めたことなのに、切なくて。


あたしは、ケーキの上に乗ったイチゴを、お皿の端に置いた。

楽しみは…後からで。

〜♪

さっきから携帯がよく鳴るのは、由紀ちゃんとメールしてるから。
今日のデートは、上手くいったみたい。

幸せそうな由紀ちゃんは、正直羨ましい。

「このイチゴ甘いかな?」
「お母さんのは、酸っぱかったけど」
「そっか、この時期だもんね」

そんな、他愛もない話しをしていると、

〜♪

携帯がまた鳴った。

〜♪

鳴り止まない。

「電話じゃないの?」
「…うん」

返事をしながら、携帯を取る。

でも、聞き覚えのない曲。
こんな曲に設定した人なんて…。


「えっ!?」

思わず声をあげた。

手が震える…

携帯のサブ画面は、信じられない人の名前を、写してた。

【着信 西藤くん】
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