ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「あっ!」
あたしはそのまま階段を駆け上がって、自分の部屋に入った。
だって…パジャマじゃ外に出られない!
こんなに焦っているのに、服を選んでいるあたしが居て、少しおかしい。
服なんかどうでもいいから、早く行かなきゃって思う自分も居る。だけど、やっぱり西藤くんには、少しでも“かわいい”って、思って欲しくて…。
着替え終えて、階段を降りると、お母さんが待ち構えていた。
「苺…出掛けるの?」
少し怒ったお母さんの顔。
「うん…」
「もう遅いし、雪降ってるから、今日はやめなさい」
お母さんの言うことは分かる…。あたしを心配してくれてるっていうのも分かるけど…。
「ごめんなさいっ、今日だけ許してっ!」
あたしは頭を下げる。
「…はぁ」
お母さんのため息が、上から聞こえた。
やっぱり…ダメかな…。
そっと頭を上げると、
お母さんはあたしの首に、マフラーを巻いてくれた。
「早く帰ってくるのよ」
怒った表情は消え、お母さんは微笑んでた。
「ありがとうっ」
「明日はたっぷり、お手伝いしてもらうから♪彼氏と仲良くねぇ♪」
「か…彼氏じゃないよっ!」
「大丈夫よ、お父さんには内緒にしといてあげるから」
お母さんは何か、勘違いしてるみたいで…でも、誤解を解く暇もない。
あたしは急いで、ブーツを履いた。
「行ってきます!」