ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
津田はこっちに走って来て、
俺はベンチから立つ。
「っ…西藤くんっ」
名前を呼ばれた…その時、
「きゃっ!」
ドンッ
津田は足を滑らせて、尻餅をついた。
今度は俺が走って、津田に駆け寄る。
「大丈夫か?」
「うん。…もうっ、笑わないでっ」
「ごめんごめん」
つい笑ってしまったのは、おかしいからじゃなくて、可愛らしく思えたから。
「はい」
俺が手を差し出すと、
「っ…ありがとう」
津田は微笑んで、手を取って立つ。
指先は冷たい。
「頭に雪、積もってるよ」
今度は津田が笑いながら、俺の頭に手を、精一杯伸ばした。
「津田…」
「うん?」
津田は手を下げ、大きく肩を上下させながら、俺を見上げた。
頬と鼻を、真っ赤に染めて、
少し緊張しているのか、微笑んだ顔が、ぎこちない…。
こんなに愛おしいものなんて、他にない。
ぐいっ
「ひゃっ…」
津田が小さく声を上げる。
俺は津田を抱きしめた。
「好きだ」