ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「苺ちゃんとデートした?」
「はっ!?」
「何びっくりしてるの、普通のことじゃない。デートした?」
「…してねーよ」
投げやり気味に答える。
いきなりの質問に、動揺してしまったのが恥ずかしい。
「えーっ、裕ちゃん何してるのよっ!」
バシッ
「痛てっ」
鞄で背中を叩かれて、俺は少しよろけた。
麗奈って…
「こんなキャラだったか?」
麗奈はふふふと笑って、
「逞しくなることに決めました♪」
と、また背中を叩かれた。
「でも本当に、今のうちに遊ばなきゃ」
麗奈は急に、真面目な顔になる。
「次は、裕ちゃん達が受験生になるんだから」
受験…。
まだ進路なんか考えてないし…言われても、あまりしっくり来なかった。
「まぁ、あたしの時もデートって言うデート、してくれなかったけどっ!」
麗奈は冗談っぽく、笑って言ったけど、俺は少し悪いことをしたと反省する。
だから津田とは…沢山思い出を作りたいと思った。
麗奈の為にも…。
「あっ!噂をすれば、苺ちゃんじゃない?」
言われて道の先を見ると、小さな女の子が端に立っていた。
その子はこっちに気付くと、軽く会釈をした後、手を振った。
「本当だ」
その姿を見ただけで、俺は微笑んでいた。