ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


あっ、西藤くんっ!

あたしは手を振ろうとした…けど、隣に居る人に気付いて、軽く会釈をした後に、手を振った。

藤堂先輩…。

正直、一緒に登校してきた二人を見て、不安にならずにはいられない。
だけど、すぐにその不安は消えた。

「苺ちゃん、明けましておめでとう」

藤堂先輩の笑顔の挨拶に、

「明けましておめでとうございますっ」

あたしはペコッと、もう一度頭を下げた。

「じゃあ、あとはお二人仲良くね♪」

それだけ言うと、藤堂先輩はあたし達を置いて、歩いて行ってしまった。

「…」

あまりにあっさりとした藤堂先輩に、茫然とする。

数秒過ぎてから、やっと強い人だな…って、思い直した。

失恋…したはずなのに、嫌味とか未練を、全く感じなくて。

後ろ姿は何か、清々しくさえ感じる。


「津田、おはよう」
「あっ、おはようっ」

西藤くんに声を掛けられて、隣に居ることを思い出した。

なんというか…やっぱり…恥ずかしい。

「えーっと、明けましておめでとうだね」
「おめでとう」
「……」

ドキン…ドキン…

ただ、一緒に歩いているだけなのに、緊張して…

どうしよう…上手く話せないっ!!

なんて思っていると、

「…っ…はははっ」

西藤くんはいきなり、笑いだした。
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