ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「なっ何っ?」
「いや…津田すっげーおかしい顔してたっ」
「えっ!?」
西藤くんは笑い続ける。
あたし…どんな顔してたのっ!?
「あ…そういえば…」
西藤くんが笑うのを止めて、こっちを見る。
「今日も髪下ろしてんだ?」
「あっ、うん」
一度『かわいい』って、言われたからって単純かな…。
ちらっと西藤くんの顔を見上げると、目が合った。
「いいんじゃね?」
西藤くんは笑顔。
「あっ…ありがとっ!」
ドキドキ…
これはもう、ずっと髪下ろしとこうかなぁ…なんて、単純すぎる考えが、頭に浮かんだ。
そんな感じで、少しぎくしゃくしながらも、西藤くんと登校すると楽しくて、いつもより早く学校に着いた気がした。
でも…いつも学校近くで、待ってくれていた翔くんは、今日は居なかった。
翔くんには、まだ西藤くんと付き合ってることを言ってない。
どうしたんだろう…。
そんなことを思いながら、上履きを取ろうと手を伸ばす。
「あれっ…」
そこにあるはずの上履きが、そこにはない。
慌てて周りを見渡すと、すぐに上履きは見つかった…けど
「取れないよっ」
言いながらも手を伸ばすのは、下駄箱の上。
届きそうで届かない、この高さが憎らしい。