ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「本当にー?」
由紀ちゃんが、ずいっと近付く。
「うん」
今朝のは、嫌がらせかどうか分からない。
ただ、下駄箱から落ちてしまっていたあたしの上履きを、誰かが上に置いてくれただけかもしれないし…。
決め付けるのは、良くないもんね。
「ならいいけど…何かあったらいいなよね?」
「うんっ♪」
心配してくれるのは嬉しい。
けど、これから本当に嫌がらせとか、されるんだろうか…?
そう考えると、ちょっと怖い。
「苺?」
気持ちが顔に出ていたのか、由紀ちゃんは不安そうに、あたしの顔を覗き込んだ。
「あ…ごめん」
「大丈夫だって。苺の王子様が守ってくれるから♪」
由紀ちゃんはあたしの頭を、くしゃくしゃと撫でる。
「もぉ…っ」
でも…きっと本当に、守ってくれると思った。
西藤くんはいつも、助けてくれるから。
「あ…」
「何?」
あたしが1つのことを思い出して発した声に、由紀ちゃんは手を止める。
「今日、翔くん見た?」
「見てないけど」
「そっか…」
「何?もしかして、まだ言ってないの?」
「うん…」
まだ言えてない。
学校に来たら、メグちゃんと翔くんには、ちゃんと言わなきゃって思ってた。
メグちゃんは知ってたから、もう言う必要はない。
翔くんも噂で、聞いたかもしれないけど…
「放課後にでも言ってくるね」
ちゃんと言わなくちゃ。