ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

卒業。

♪苺side♪


やっぱり、月日が過ぎるのって早い−…。


風は相変わらず冷たいけど、気温は日々、温かくなってゆく。

この前…2月に入って、先輩達が学校から、居なくなったばかりだと思っていたのに。

今日はもう、卒業式−…。


“送辞”を読み終え、静まりかえる体育館には、啜り泣く声が少し聞こえる。

部活とかしてると、やっぱり先輩が居なくなるのって、寂しいんだろうな…。

でも、あたしは何もしてないから、“先輩が居なくなる”っていう実感が沸かない。

あたしと関わりがあったのは、藤堂先輩くらい−…。

「卒業生答辞」

先生の声で、一人の生徒が檀上へ上がる。
その人が前を向いた瞬間、静かだった体育館内が、ほんの少しだけざわついた。

あたしも驚かされた一人…だって…

「春の日差しが…」

動じず答辞を読む生徒は、藤堂先輩。

だって……髪が…短い。

綺麗なさらさらの、長いストレートヘアはなくて、肩に届くか届かないかまでに切られてた。

「彼氏取られたからだって…」

影からこそこそと聞こえるけど、気にしない。

藤堂先輩が、どんな思いで髪を切ったのかなんて、藤堂先輩にしか分からないし…。

でも、何だろう…。

何かを決意した…そんな風に見えた。
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