ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「じゃあ、俺達帰るから」
裕也は苺ちゃんの手を、引っ張るように握る。
「当てつけか」
俺が半分キレ気味に言うと、裕也は嫌味っぽく笑い、苺ちゃんは顔を赤くさせて、「バイバイ」と手を振った。
色々あった二人だから…
仲良く歩く後ろ姿を見ながら、“良かった”と、心から思う。
だけど、同時にどうしても“羨ましい”と、思わずにはいられない。
彼女…欲しいなぁ…。
ズボンのポケットから、携帯を取り出す。
電話帳の『女の子』フォルダには、ずらりと名前が並ぶ。
自分で言うのも何だけど、容姿は良い方で、明るく軽っぽい俺は、女の子の友達が沢山いた。
中には、恋人みたいに接する奴もいた。
今だって、俺に好意を寄せる女の子は、結構いる。
だけど…
間に付き纏われる様になってから、親密な女友達は…いない。
間があまりにベタベタするから、みんな逃げて行った。
携帯の画面に並ぶ連絡先も、何処まで繋がるのか、分からない。
誰でもいいから、適当にメールしてみようか…。