ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「…何だよ?」

「いや、別にいいけど…来週には卒業ってこと、忘れんなよ」

不機嫌な顔をしているのに、笑っている友達は、俺を馬鹿にしているみたいでムカつく。

「分かってるよ!」

投げる様に言葉を吐き捨てて、俺は友達に背を向けた。

さっき「そろそろ帰ろうか」と話していたせいか、歩き出しても友達は追って来ない。
俺自身も、追って来ない友達を気にはしない。


まさか間の話が出て来るなんて、思いもしなかった。

だから、ほんの少し動揺したのか…

胸の中がモヤモヤする。


『来週には卒業』

『最後くらい優しくしてやれば』

友達と裕也の言葉が重なって聞こえた。


歩きながら携帯を開く。

今まで気にしたことなんか、なかったのに。

忘れたくて、友達を遊びに誘ったのに。

携帯の画面に表示されたのは…

【今週の日曜遊ぼ
10時に−駅ね】

間からのメール。
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