ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
そう思うのに、この煮え切らない思いは何だろう。
待っていて欲しかったのか…?
待ち合わせに行かなかったのは、自分なのに。
自己中なのは、俺の方かもしれないと笑う。
来週の土曜日は、卒業式。
来週の日曜日は、もう高校生じゃなくて、間に振り回されることも、もうない。
望んでいたことのはずなのに…
間が苦手だったはずなのに…
今、感じている気持ちは、
“寂しい”…。
俺は駅を背に、再び歩き出す。
誰にも言わないけど、
もし、待っていてくれたなら、
きっと恋してた−…。
それは“卒業”が見せる幻想か…
“卒業”が気付かせる本心か…
どちらかは分からないけど。
「やっぱり来ないかぁ…」
駅の隅に現れた女の子。
内巻きに巻いた髪、コートの中はピンクのニットにミニスカート。
手には、洋服店の買物袋。
二人がすれ違いになったのは、
意地悪な神様の悪戯−…。