ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
手洗い場の鏡に、自分の姿を映す。
いつもよりも時間をかけたメイク、内巻きに巻いた髪。
白いブラウスに紺色のジャケット、胸の中央には少し緩めた青のリボン。
可笑しな所がないか、念入りにチェックする。
一通り確かめて、メグはポケットから携帯を取り出した。
開くと、待受画面だけが表示された。
メールも着信も、何もない。
カチ…カチッ…
まるで癖の様に、無意識に呼び出した電話帳。
表示された名前は『大和』。
結城 大和。
今から会いに行こうとする彼は、メグの好きな人。
苺ちんの彼氏の友達だった大和に、一目惚れしたのは去年の夏。
強引に聞き出したアドレス。
毎日送るメール。
姿を見付ける度に、ベタベタ絡みに行って。
週末には一方的に、デートに誘ってみたり。
だけど、
積極的すぎるメグの性格は、逆にウザがられて、距離が縮まることはなかった。
そしてそのまま、
今日を迎えてしまった。