授 か り 人

 山のふもとと思われる近くでコテージのようなものが何軒か視界に入った。
「ここで生活してるのかな?」

 風稀が不思議そうに眺めていたがどうやら違うようだ。

 コテージの脇には切りたての丸太が大量に積み上げられている。
 木こりだろうか。


「よぅ、にぃちゃんたち、その川の向こうには行けるようになったのか?」

 コテージの住人のほうから声をかけてきた。

「今はもう通れますよ」
「そうかい、じゃぁ時期に迎えが来るな」

 住人は焚火をしていて、そこで沸かしたお湯で作った何かを飲んでいる。


「この道はしばらく使えなかったんですか?」
 雷志の質問に『この二、三日だけなんだよ』とくつろぎながら答える住人。

「この森の先も何だかおかしな状態でな。伐採したはずの木が生い茂っているんだ」

 木というものはそう簡単に大きな樹木にはならない。
 おかしな現象というのが数日で起こっているのであればそれもまた何か理由がありそうだ。

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