頑張り屋な彼女と紳士の皮を被った狼
「高嶺の花なんかじゃありませんよ。今、あなたに告白しているただ一人の男にすぎません。
 僕のこと真面目に考えてくれませんか?」


そう言って、主任は真剣な目を向けてくる。

そういえば、私が主任に初めて会った時に目が行った場所は、その瞳だった。

穏やかそうだけど、とても意志の強い真剣な瞳。

私はその瞳の強さに魅かれたのだった。


「――本当に、私なんかでいいんですか?」


私は思わず答えていた。

だって、この目で見つめられて嘘なんて言えない。


「私なんて意地っ張りだし、どちらかって言うと男っぽいし、可愛くないですよ?」


すると、主任は優しい声で言ってくる。


「知ってますよ。そして、とても頑張り屋なところも知ってます。そんな貴女に僕は惚れたんです。
 僕とお付き合いしてくれますよね?」

「はい……」


私は赤くなりながら答えた。

すると主任はにっこり笑って、思わずと言った感じで私をギュッと抱きしめた。


「うれしいです! ありがとうございます」


そして、

顔を近づけるとキスをした。


< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop