cherry

今は、１番手で走っている拓也だけど、後ろからは陸上部で一番速い子が、どんどん拓也との距離を縮めていっている。

やばい・・・

このままじゃ抜かれてしまう。

「「拓也、頑張れー！」」

みんなで叫んだ。

その声が聞こえたのか、拓也はどんどんペースを速めていった。

風に乗って、一生懸命に走る拓也の姿に、思わず見とれてしまった。

そして、拓也が１番でゴールした。

「「ワー！！！」」

選手からも、客席からも、すごい歓声が聞こえた。

拓也は、笑顔で恥ずかしそうにしていた。

「体育祭の優勝は、赤組！！！」

そんなアナウンスも聞こえないほど、あたし達は叫びまくっていた。

優勝出来たことよりも、みんなで体育祭を楽しむことが出来たほうが、嬉しかった。

あたしの心は、充実感でいっぱいだった。