春うララ~時代劇編~
【ララー11】

寒さがこたえる真冬の朝



そんな寒さを
吹き飛ばすような声が
聞こえてきた。



「先輩先輩!!
起きてください!!」



えらい
テンションの高い春が、
ウザったく目覚めを迎えた。



「何よ春…
こんな朝から…

うう…サブ…」



布団の中で返事をする
ララだが、
それを春はひっぺがした。



「ほら起きて!

雪ですよ雪!
積もったんですよ!!」



はあ…?

そんな事で
起こしたんかい…



はがされた布団のせいで
目が覚めたララは、
大あくびをした。



「ふあぁ……
何なのよもう…

雪くらいで…」



「いいから
ほら着替えて!

見てくださいって!」



なんぼ程
テンション高いんだ
コイツ…



ララはドテラに身を包み
春に引かれて外に出た。



外は雪により一面の銀世界。



ただ、
長屋の周りには
何故かほとんど雪が
なかった。



管理人が
雪かきでもしたか?



そう思ってると春が
声をかけた。



「ほら先輩
見てください!

かまくらですよ
かまくら!

作ったんです!」



ああ……

コイツの仕業ね…



春は長屋に積もった雪を
全部集めて、
超巨大かまくらを
作っていた。



そして穴の中には
既にテーブルやミカンが
置かれている。



どこから来るのか
この無駄なパワーは…



「さあ先輩!
入ってください!」



「子供ねえ~春は。

自分は
ちんちくりんなのに対し
かまくらはデカいわね。

こんなんだから
男寄り付かないのよ」



朝から
からかってやった。



「アハハ!
そうですね!
さあ入りましょう!」



…何!?



いつもみたく、
泣き出して逃げなかった…



あわよくば
寝直せると思ったのに



こんな時
馬鹿にかける言葉はないと、
ララは痛感した
< 36 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop