Maidoll Factory
本来はあってはならないし、あって欲しくない事だが、メイドールが犯罪に使用されるという可能性もないとは限らない。

だから警察や天空宮警備騎士団の指導により、たとえメイドールの記憶を消去されても誰の注文によるものなのかが分かるように、刻印を入れる事は義務付けられている。

それを辿れば確実に、この子の主に辿り着く事ができる。

だけど…。

僕はそうする事を躊躇っていた。

この子の主に辿り着き、不法投棄した事を謝罪させ、この子を再び引き取らせたとして…。

この子はそこから先の人生を、幸せに送る事が出来るのだろうか。

一度は己を捨てた主だ。

そりゃあメイドールとして、彼女はそんな主にでも寄り添い続けるし、慕い続ける。

しかし彼女の心には、魔法エンジンが止まるまで、消える事のない心の傷が刻まれる事になる。

ただの機械人形じゃない。

メイドールはれっきとした『心』を持つ生命なのだ。

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