君色の夢に恋をした。
嘘で溢れたこの世界。
生きる意味もなければ、死ぬ意味も、当然存在しない。
ただ、なんとなくフワフワと生きてるだけ。
……強いて言うなら、『絵』が私の生きる意味なのかもしれない。
私は、『絵』があるからこそ生きている。
「…早口さん?」
…ふいに。控えめなか細い声が、背中ごしから聞こえてきた。
顔なんか見なくてもわかる。
きっと…、美術部の顧問の先生。
名前は、覚えてない。
覚える意味がない。