【短編集】フルーツ★バスケット

 紺碧の空に透き通った空気。
 急に風も冷たくなった11月。

 毎日のように、あたしを実験の道具にしか思っていない奴らに嫌気がしていた。

 あ、先に言っておくけどアンドロイドなんかじゃない。

 あなたと同じ人間よ。
 唯、奴らにとって、あたしはサンプル。

 それ以上でも、それ以下でもない。


 だから、逃げ出した。
 本当に逃げ切れるとも思っていなかったけど。

 奴らのアジトを出て、直ぐに見つかってしまった。


 お願い!!
 神様がいるなら、あたしを助けて。

 祈りを天に捧げ、周りの景色なんか瞳に映らないまま、走り出した。


< 134 / 157 >

この作品をシェア

pagetop