二藍蝶
親父に抓られた痛みと
喧嘩で、できた傷痕が痛む。

「いてぇ」

親父の後姿、部屋のドアが
閉まる。

本当の親父は、こんな田舎町で
燻ぶってるような人間じゃない

俺の憧れの親父は
もっと、もっと
煌びやかな街が似合う。

こんな場所に身を潜めて
いるのは全て

愛するもの達の為・・・

愛する女の為・・・

俺の親父は昔、極道だった。

それも、ちょっとは名の知れた
高月組の三代目組長。

若くして、三代目となり
極道の世界を駆け抜けた。
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